
タツノオトシゴの生態
タツノオトシゴって一体どのような生き物なのでしょう?
タツノオトシゴを養殖するワケは?
お父さんが赤ちゃんを産むって本当?
そんな様々な疑問にお答えしていきながらタツノオトシゴの生態を深掘りしていきます!

Qタツノオトシゴって何の仲間?
エビのように硬そうな体表、ヘビのように巻きつく尻尾、たて笛のような口、奇妙な形のタツノオトシゴは一体何の仲間なのでしょう?
実はタイやマグロと同じ、ヨウジウオ科タツノオトシゴ属のれっきとした魚の仲間です。ヨウジウオ科タツノオトシゴ属の学術的名称はHippocampus(ヒポカンパス)と呼ばれます。
この語源はギリシャ語のHippos(馬)、Campos(海の怪物)から由来するそうです。なんだか少し怖いですね。
日本では形態が空想上の「竜」の子供を想像させることから「竜の落し子」と呼ばれていますが、中国語では海馬(かいま・かいば)、英語ではシーホース(Seahorse)と呼ばれ、よく馬に連想されるようです。
実際、タツノオトシゴをじっくりと観察すると他の魚と同じようにエラや背ビレ、胸ビレを確認することができ、やっぱり魚!とちょっと納得できそうです。
しかし尾ビレはなく、その代わりに長い尾を海藻などに巻きつける姿を見るとやはり「本当に魚?」という感じですが・・・。
タツノオトシゴにはもっと興味深い生態があります。
何とオスが赤ちゃんを出産してしまうのです!
オスのお腹には「育児嚢(いくじのう)」と呼ばれるカンガルーのような袋があり、メスはこの袋の中に卵を産み落とします。
オスは受け取った卵を育児嚢で保護し、ふ化させ、およそ2~6週間後に赤ちゃんを出産します。
タツノオトシゴの仲間は世界中で50種以上の生息が
確認されていますが、詳細な種数や生態に関する不明点はたくさんあります。
また、「タツノオトシゴ」とはヨウジウオ科タツノオトシゴ属魚類の総称であるのと同時に単一種の標準和名でもあります。
日本ではその他にオオウミウマ、イバラタツ、サンゴタツなど10種以上のタツノオトシゴ属の生息が確認されています。

【写真】タツノオトシゴの産卵
(メスから右側のオスに卵を預けます)

【写真】沢山の赤ちゃんが誕生
Qなぜタツノオトシゴを養殖するの?
タツノオトシゴは伝統的な漢方生薬として中国をはじめとする多くのアジア諸国で利用されています。
漢方薬としての効能は滋養強壮、鎮痛、精力増強等に
効果があるといわれています。
また、愛らしい形態から観賞用や飾り物としての人気も高く、多くの野生個体が東南アジアを中心に漁獲され、日本を含むアジア、欧米や日本へも輸出されています。
2000年頃の水族館やペットショップでみられるタツノオトシゴのそのほとんどは野生個体で、野生のタツノオトシゴは乱獲によって生息数は減少しつつあると考えられていました。
野生のタツノオトシゴの保護を目的として、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)のアマンダ・ビンセント教授が設立したプロジェクト・シーホースの調べによると、 1995年には年間およそ2000万尾が漁獲されたそうです。
近年、彼らの資源保護活動が認められ、ワシントン条約でも国際取引規制を執り行うことが可決されました。
これからは人工的に養殖をおこなうことによって、天然資源に影響を与えずに利用する試みが期待されています。
タツノオトシゴは環境変化に敏感な生き物です。
日本ではタツノオトシゴ漁は行なわれていませんが、沿岸域の環境破壊によっても生息数は減少していると考えられます。
私たちの聞き取り調査でも「この辺の海岸にも昔はたくさんいたのに・・・」といった話がよく聞かれます。
タツノオトシゴの生息は環境変化についての一つのバロメーターにもなっているようです。

【写真:野生のタツノオトシゴ】
なぜ養殖タツノオトシゴがオススメなの?
家でタツノオトシゴを飼ってみたいけど、飼育は難しそう・・・。
そうなんです。これまで飼育対象とされてきた野生のタツノオトシゴは自然界から水槽へ移されるストレスによって病気になりやすかったり、餌付きにくいなどの多くの飼育上の問題点がありました。
飼育のプロフェッショナルの水族館でさえ、野生のタツノオトシゴの長期飼育には苦戦するともいわれます。
そこでオススメするのが当社の養殖タツノオトシゴ。産まれたときから人によって育てられていますので、水槽で飼われることにとっても慣れているのです。
タツノオトシゴ専門の飼育者が、お客様の水槽で元気に暮らせるように丁寧にセレクトした生体をお届けするので安心して飼育をはじめられます。
また現在、野生のタツノオトシゴは観賞用や漢方生薬等の利用を目的に東南アジアを中心に大量に漁獲されることよって減少し、野生種の保護が求められています。養殖個体飼育へのシフトによって自然界への負荷を減らすことにも貢献できます。
タツノオトシゴ類で代表的な種類です。天然光やそれに近い照明で美しいイエローやオレンジの体色になります。光量が少ないと深みあるのブラックに変色します。お届時はブラックの場合が多いですが、飼育環境に応じて体色は変化します。愛らしい形態が魅力的です。

【写真:養殖タツノオトシゴ】
タツノオトシゴは淡水魚?海水魚?
タツノオトシゴは海水魚です。海から汲み上げた自然海水はもちろんペットショップで購入できる人工海水でも飼育ができます。
一般的な海水の塩分濃度は3.2%前後ですが、急激な変化でなければ、若干の高低があっても支障ありません。
飼育水中の塩分は、最寄りのペットショップやインターネットで販売されている塩分濃度計や比重計で容易に測定できます、海の近くでお住まいの場合には、バケツで汲んみあげて利用するのも可能ですが、雨の降る日や濁っている時は避けましょう。

正しい水槽の大きさは?
タツノオトシゴを飼育するための水槽の大きさはタツノオトシゴ1尾(Mサイズ以下)に対して最低5リットル以上を目安にしてください。
10リットル以上が理想的です。狭い水槽自体がストレスにはなりにくいですが、少ない水量は水質悪化を招きやすくなるので留意してください。
また、繁殖を目的にLサイズを飼育する場合は、求愛行動が効果的におこなえるように水深30センチ以上を確保できる水槽をご用意すると良いでしょう。

タツノオトシゴのエサは?
通常、野生のタツノオトシゴは生きた小さなエビや小魚などを好んで食べます。
生きたエサを常時入手することは困難な点があり、弊社では養殖タツノオトシゴの専用冷凍エサをご用意しております。
「タツノオトシゴのえさ」は養殖場タツノオトシゴハウスで毎日与えているエサですので、安心してご利用頂けます。
嗜好性がとても高い活き餌もご案内しておりますので、飼育環境等に応じてご活用ください。
